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2010年4月 8日 (木)

『世界時計と針の夢 上』

「あなたなら 世界を戻せるかもしれない」 

10年前から「おかしくなった」町、ベスク。
妄想によって人が虫になり、時に虫人間になり、
そして狂気に陥った人間を警備兵の<クマバチ>が
日々殺してまわるようになった。
いともたやすく妄想が現実になる世界で
自らの正気を証明する紙切れを持っていないと
生活できない、そんな町と成り果てた。

シリル・スワンプはそんなベスクに住む元時計職人。
右の手指を事故でなくし、ハエになった母親と
人間大のカマキリになった双子の弟と暮らしている。
ある夜、双子の子供とバラバラになった<クマバチ>を
助けたことから、世界にまつわる騒動にいやおうなく
巻き込まれてゆく。

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ってなわけで、諸口正巳センセの『世界時計と針の夢』。
発売即日仕入れて、一気読みして、その後に読み返すこと
幾度。ようやっと感想らしきものを書くにいたった次第。

ただ、ぶっちゃけた話、何書いてもアンスルライン最高!
みたいなノリになりそうなんよね。いやもうほんまに。

・・・・・・うん。それでいっか。
むしろそれでいこう!(開き直り)

ってなわけで(二度目)、
シリル・スワンプが助けたバラバラの<クマバチ>こと
不死身の兵士アンスルライン拾壱號のもゑ語り。
そういうのが嫌いな方は華麗に回れ右をしてください。
今が逃げ時ですよー、いいですかー?

いいですねー。では。

基本的に<クマバチ>は不死身でして、撃たれようが
斬られようが、四肢をバラバラにされようが治っちゃう。
ただ、アンスルライン拾壱號(以下アンスル)は、
チンピラのリンチで味噌を引っ掻き回されたせいで
(ついでにその後「牛裂き」でバラバラにされた)
どうにも痛覚や感情のようなものを得たらしい。
アンスル曰く「壊れた」そうですが、それがあったからこそ
話が進むというわけです、奥さん。

シリルとルーカス&パシュカの双子に助けられたアンスル。
四肢をなんとかくっつけた次の朝、
目覚めてからの思考と、苦痛に揺さぶられたアンスルが
思わず流した涙のくだりに、妙にはっとさせられたり。

いやね、感覚や感情がないっていう設定は漫画や小説に
いろいろ使われてるんですが、
「涙をながす」ってのが感覚を得て最初に出てくる点が
新鮮だったんです。
まぁそういう驚きを抜きにしても、ごっつい男の人が
涙をこぼすってのは・・・・・・なんかこう、グッときますよね。

閑話休題。

ただアンスルが「壊れた」といっても<クマバチ>は
変わりなく<クマバチ>なわけでして、脳内にあふれる
いろんな命令に従うわけです。
曰く「シリル・スワンプを保護せよ」
曰く「ベスクの平和を守れ」ってな具合にね。
ただ、アンスルが他の<クマバチ>と決定的に違ってくるのは
「壊れた」がゆえにその命令に自分がどうしたいかっていうのを
組み込むようになっていくんですよ。

がたいのごっつい無表情のアンスルが、
(とある情報筋によると身長は2メーター越え)が
わき出た自分の「気持ち」についてつれつれと考えたり、
シリルたちとたどたどしく話したりするのを
「かわいらしい」と思うのは私だけではないはず、だ。うん。

シリルとルーカスを含めたやりとりも読んでいて面白いし。
で、おかしくなった町の端っこにある目的地に行く道すがら、
色んな襲撃からシリルを守るためにアンスルは戦うわけですよ。
もう、猛烈に戦うわけですよ。
不死身だから傷を負った次の瞬間に治っちゃうから、
無茶し放題。とういかもはや無茶苦茶で、もう格好良すぎて大変。
(主として私が)

てなわけで、下巻感想へつづく。

世界時計と針の夢 上』 諸口正巳  C・NOVELS Fantasia
ISBN:978-4-12-501107-3

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